第4回・ジャンプ黄金時代の結晶

 前回は、ジャンプ漫画の打ち切りについて書いてみたのですが、今回は「ジャンプ黄金時代」と言われた80年代のジャンプ漫画の集大成(?)について書いてみたいと思います。

 当時のジャンプ漫画は「ドラゴンボール」や「北斗の拳」、「キン肉マン」、「セイントセイヤ」、「銀牙」、「魁!!男塾」、「キャプテン翼」、「シティーハンター」等、誰もが一度は読んだ事がある名作が揃い驚異的な売り上げを記録しました。

 そんな全盛期に、ジャンプ創刊20周年記念に発売されたのが「ファミコンジャンプ」でした。これは、上記のジャンプ漫画の主役が総出演するという夢のゲームで、当時としては画期的な事にセブンイレブンでもゲームが発売されたアクションRPGでした。大々的に発売された「ファミコンジャンプ」でしたが、肝心のゲームの方は・・・。当時のゲームでは常識だったパスワードでデーターを取っておくシステムも中々に苦痛でした。

 最大限に良く言えば「ジャンプの集大成」なゲームなのですが、ぶっちゃけると「闇鍋のような」もしくは「混沌とした」という評価が一般的です。占い婆の部下としてバッファローマンやネプチューンマンが出てくるなど、ぶっ飛んだ人選が評価を定着させたと言えるでしょう。

 とはいえ、発売から十数年経った現在でも攻略サイトなどが存在するなど、一部では根強い人気を誇っています。この人気を支えているのが、ゲームのクライマックスに控えている「最終決戦」の存在です。

 この「最終決戦」とは、十数人のジャンプ漫画の主人公がライバルキャラとの勝ち抜き戦をRPGのコマンド形式で行うというものでした。ただし、組み合わせによっては相手にしてくれなかったりします。例えば、拳王・ラオウ様は死兆星が見えない者は相手にしてくれません。しかも、ゴクウは見えないのに野球部員・山下たろー君には見えるようです。(しかも、ラオウ様との相性が抜群に良いです)

 他のライバルキャラとしては「ジョジョの奇妙な冒険」の第2部に登場するエシディシ(別に親玉でもない3番手の悪役)は、原作に忠実なのでゴクウの太陽拳、一撃で死んだりします。他にも「セイントセイヤ」のサガは、「ついでにとんちんかん」のぬけさく先生の「大怪獣ヌケゴン」で秒殺出来たりします。他にも夢の対決が数多く楽しめます。

 ラスボスは当時のジャンプの中心といえる「ドラゴンボール」のピッコロ大魔王ことマジュニアなのですが、なぜかゴッドサイダー・霊気の「神魔碑文」(しんまひもん)を使うと即死するという血も涙もクライマックスが用意されていて素敵です。

 ラスボスの不甲斐なさを補う存在が「キャプテン翼」のイタリア・ジュニアユース代表GKのヘルナンデス君です。彼は、黄金の右腕を持つ天才GKなのですが、意外に怪我しやすいキャラで、日向君のネオ・タイガーシュートや火野君のトルネードシュートで怪我させられるなど、大会毎に怪我する妙に律儀なキャラです。ゲームでも、相手の攻撃を無効化する「キャッチ」と攻撃を跳ね返す「はじく」という2種類の絶対防御を誇り、ケンシロウの「北斗神拳究極奥義・無想転生」やアラレちゃんの「んちゃ砲」ですら跳ね返す恐るべきキャラです。更に、ぬけさく先生だと日本語のギャグが解らないのでダメージが与えられないという芸の細かさも見せています。

 このように様々な遊び方の出来るゲームなので、一度プレイしてみて欲しいです。原作を知る人もそうでない人も楽しめると思えます。中堅の作品も平気で打ち切られる現在のジャンプでは成り立たない夢の作品だといえるでしょう。たとえ、どんなにクソゲーだとしてもです・・・。

 ちなみに「ファミコンジャンプ」には、完全なRPG(というよりも、まんまドラクエ)と化した「ファミコンジャンプ2」も存在していますが、このゲームはやった事はありませんが、やはりクソゲーの烙印が押されているようです。是非、一度プレイしたいのですが・・・。

 今回のコラムは資料を引っ張ってくるだけでなく、実際にゲームをプレイしたり(懐かしくて泣きそうになった)して書き上げましたが、やはり「最終決戦」の面白さは際立っていました。(というよりも、パスワードで最後からやったのですが・・・。)


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